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2006/10/11

黒胡椒と白胡椒と緑の胡椒

胡椒は熱帯地方に生息するコショウ科の植物です。
現在の主な産地はインド、インドネシア、マレーシア、ブラジルなどですが、原産地はインド西南部のマラバル地方だといわれており、英語の「pepper(ペッパー)」の語源はインドのサンスクリット語の「pippali(ピッパリ)」だと考えられています。

紀元前500年頃にはインドで胡椒が栽培されていたとみられていますが、胡椒栽培が始まる以前に野生の胡椒がインド人によって使われていたと推測されており、紀元前5000〜3000年頃に栄えたインダス文明の時代には胡椒が用いられていたと考えられています。

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胡椒は蔓(つた)をのばし樹木などに巻き付いて育ち、一本の蔓から2キログラム程度の胡椒が採れます。
胡椒を育てる時は挿し木栽培が行われ、挿し木されてから3年経つと実をつけるようになります。

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胡椒には黒胡椒(ブラックペッパー)や白胡椒(ホワイトペッパー)の区別がありますが、どちらも同じ種類の胡椒の木になる実からつくられ、2通りの加工方法があるために2種類の胡椒が流通しているだけで、2種類の胡椒の木があるわけではありません。

黒胡椒は、熟す前の胡椒の実を乾かして発酵させたもので、加工後は水分が抜けるために実の表皮が縮んでクシャクシャと皺がよります。

白胡椒は、熟して赤くなった実を積み重ねて外皮を腐らせるか、水に浸けるなどして皮を柔らかくした後に外皮を取り除き中の実を乾燥させたものです。
昔は足で踏むなどして外皮が取り除かれていました。

生の胡椒の実は緑色をしており、乾燥させたものより辛味は強いのですが、この緑の実も料理に使われます。
タイでは、「ケーン・パー」や「ケーン・ペット」などのカレーの類いや、「パットペット」などの炒め料理に生の胡椒の実や実のついた房がハーブとして使われています。

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乾燥させた胡椒の実を使う場合に、新しいものほど辛味を強く感じます。
胡椒の辛味はピペリンやシャビシンという化学物質が素になっており、ピペリンは常温でも結晶化してしまいます。
乾燥胡椒の方が生の胡椒よりも辛味が弱かったり、乾燥させた胡椒が古くなると辛味が薄れるのはピペリンが結晶化してしまうためです。

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実は、英語の「pepper」の語源となったサンスクリット語の「pippali」は胡椒の仲間ではあってもナガコショウという種類の植物の実を意味する言葉です。
古代ローマ時代にもインドのマラバル海岸からヨーロッパへ向けて海路を通じて胡椒が運ばれていましたが、古代ローマやギリシャ時代において胡椒と言えばナガコショウのことを指していました。
サンスクリット語で普通の丸い胡椒は「マリッチャ」といいます。

ナガコショウは漢方では「ヒハツ」と呼ばれ、3センチほどのツクシの穂に似た房の中に胡椒の実が入っており、房ごと干して使用するため通常の丸い胡椒に対してナガコショウの名がついています。
現在日本では沖縄などで栽培されています。

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「ポブレ・ロゼ」という赤い胡椒があります。
日本ではピンクペッパーという商品名で売られており、最近の料理書のレシピなどでもしばしば目にします。
このピンクペッパーは胡椒ではなく、南米原産のウルシ科植物のコショウボクという植物の果実です。
コショウボクの実を蒸し焼きにして熟した実の赤色を定着させたものです。
最近はコショウボクの実をフリーズドライにしたものが出回っているようです。

<参考書籍>

井上宏生(2002)『スパイス物語—大航海からカレーまで』集英社
吉田よし子(1988)『香辛料の民族学—カレーの木とワサビの木』中央公論社
石毛直道(2004)『食卓の文化誌』岩波書店
山田均(2003)『世界の食文化 (5) タイ』 農山漁村文化協会
小磯千尋(2006)『世界の食文化〈8〉インド』農山漁村文化協会

<胡椒関連>

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