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2006/10/25

トマトケチャップとアメリカと日本

トマトをつぶして裏ごしして皮や種をとり除いたもの、いわゆるトマトピューレを煮詰めて香辛料や調味料を加えたものがトマトソースです。
トマトピューレにタマネギや香辛料、酢、塩などを加えてつくった調味料がトマトケチャップになります。
トマトケチャップの利点は保存性の高さですが、素材の味が活かされているのはトマトソースの方だといえます。

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19世紀頃まで、アメリカではトマトケチャップとトマトソースは明確に区別されていませんでした。
イギリスからアメリカにトマトケチャップが伝わった後(関連:「トマトケチャップのルーツの謎」)、それぞれの家庭が独自のレシピに基づいてトマトケチャップやトマトソースを作っていたため、トマトソースのようなものもトマトケチャップと呼ばれていたからです。

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アメリカでもトマトケチャップは便利な調味料として多用されるようになり、1830年代には工場での大量生産が始まりました。
南北戦争後に缶詰加工業が発展するのと時を同じくして、工場でのトマトケチャップ生産量も増加していきました。

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南北戦争後間もなく、アメリカ人の好みに合わせて甘味を加えたトマトケチャップをマサチューセッツ州でジョシュア・ダヴェンポートが開発します。
ダヴェンポートのケチャップはフィッシュケーキやベイクドビーンズを食べるときに欠かせないソースだと好評を得ました。

1876年にはペンシルバニア州でH. J. ハインツがトマトケチャップの生産を始め、ハインツ社のトマトケチャップが普及すると、アメリカの家庭でケチャップは作られなくなり、市販品のケチャップを買うのが普通になったのです。

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19世紀まで、アメリカではそれぞれのメーカーが多様な材料を使ってさまざまなトマトケチャップを作っていました。
しかし1906年に添加物を規制する法案がアメリカ議会で可決されると、トマトケチャップは完熟トマトにスパイスや酢、砂糖のみで作り、保存料を使わないように義務づけられました。
この規制により液体状のトマトソース風トマトケチャップは市場から消え、現在のトマトケチャップであるドロリとした粘性のあるものに統一されていきました。

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1900年代に普及したホットドッグやハンバーガーにトマトケチャップは欠かせないものとなり、1901年に行われた調査によると、この当時のアメリカの殆どのレストランにトマトケチャップが置かれるようになっていたといいます。
現在アメリカでは1000万トンに近い量のトマトが生産されていますが、その殆どはケチャップやジュースなどの加工品の材料にされており、アメリカの98%を越える家庭でトマトケチャップは常備されているという最近の調査結果もあるといいます。

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アメリカの家庭でトマトケチャップが既に普及していた頃である明治時代の日本では、トマトを食べると髪が赤くなるという噂がはびこっていたためトマトは日本人から敬遠されていました。
そんな中、明治28年(1895)年に、日本で初となるトマトソースを堤氏が製造販売したという記録が残されています。

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日本でのトマトケチャップ普及に貢献したのは、明治8(1875)年に愛知県に生まれた蟹江一太郎氏でした。 
明治32(1899)年に蟹江氏は西洋野菜を栽培し、外国人客が利用するレストラン向けに玉ねぎやキャベツ、にんじんなどを販売し始めました。
しかし、トマトだけはいつも売れ残って畑で腐らせるようなことが続いていたため、これが蟹江氏の悩みの種になっていました。
そんなとき、農事試験場技師からトマトを加工する方法があることを蟹江氏は教えられ、名古屋のホテルの厨房にあった輸入トマトソースを見本にして、自宅の納屋でトマトソース開発に着手したのです。
そしてついに、明治36(1903)年、蟹江氏は独自のトマトピューレを完成させました。
これが現在のカゴメ株式会社の始まりとなったのです。
日露戦争後の明治39年から蟹江氏はトマトソースの生産を本格的に開始し、明治41(1908)年にはトマトピューレに香辛料や調味料を加えたトマトケッチャップを開発して製造を始めました。

明治から大正時代に起きた洋食ブームで日本人がチキンライスやオムライスなどを口にするようになるとトマトソースの需要は増加しました。
トマトソースに比べトマトケチャップの日本での普及は遅れましたが、昭和に入った頃からトマトケチャップの消費も徐々にのびていき、戦後の日本人の食事の西洋化に伴ってトマトケチャップも多くの家庭で使われるようになったのです。

<参考書籍>

橘みのり(1999)『トマトが野菜になった日—毒草から世界一の野菜へ』草思社
シルヴィア・ジョンソン(1999)『世界を変えた野菜読本—トマト、ジャガイモ、トウモロコシ、トウガラシ』晶文社
石毛直道(2004)『食卓の文化誌』岩波書店
吉田 豊(1995)『食卓の博物誌』丸善
前川健一(1988)『東南アジアの日常茶飯—食文化観察ノート』弘文堂

<ソース関連>

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