ピタはなぜ薄いパンなのか
最近、「ピタ」というパンを使った商品をファーストフード店が期間限定で売り出していますね。
このピタはパンの原型ともいわれ、中近東やバルカン半島などで食べられているパンです。
古代の昔からパンを作ってきたエジプト(関連:「古代のパン」)でも食べられており、エジプトではピタのことを「アイシ」と呼んでいます。
「アイシ・バラディ」という「我々の命」という意味の言葉が縮まって「アイシ」という名になりました。
トルコにはピデと呼ばれる少し厚めのお焼き風のパンがありますが、これはピタが語源だといわれ、イタリアのピッツァの呼び名もピタに由来するといわれています。
○
ピタの特徴は平たい形と中が空洞になっていることにあります。
平たいパンは「平焼きパン」として分類され、ふっくらと焼き上げたパンと区別されますが、ピタはこの平焼きパンにあたります。
また、ピタには生地を発酵させてから焼いたものと、発酵させないで焼いたものがあります。
どちらのタイプも平たいパンですが、無発酵タイプのピタの方がより薄いパンに仕上げられます。
○
ピタの作り方は、小麦粉を水で溶いて薄い生地をつくり、これを短時間に高温で焼いて生地をプクッと膨らませます。
膨らんだところはまるで自動車のエアバッグが開いたような感じになります。
ピタの詳しいレシピについては『ニューヨークスタイルの人気のパン』のピタの項や、『パンの基本大図鑑』のアイシの項などが参考になります。
○
膨れたピタを半分に切ると中は空洞になっているので、ここに煮込み料理や豆のペーストなどのおかずがつめられてサンドイッチのようにして食べられます。
平焼きパンは焼いている間に水分がとんでしまいパン表面にあく穴が細かくなり、煮込み料理などを載せたり挟んだりしても直ぐに水分を吸い込んでグチャグチャと柔らかくなるようなことはありません。
ふっくらとした食パンがスポンジのように水分を吸ってしまうのとは対照的です。
○
ピタなどの平焼きパンを食べる地域にはいくつかの共通する特徴があります。
まず材料ですが、タンパク質の含まれる量が少ない小麦粉を使ったり、小麦粉以外の穀物をつかってパンをつくる地域では無発酵パンが作られる場合が多く、無発酵のパンは焼き上がっても気泡ができず固くなってしまうので、どうしても薄い平焼きパンを作ることになります。
トウモロコシ粉でつくるメキシコのトルティーヤや小麦全粒粉(小麦を殻ごと粉にしたもの)でつくるインドのチャパティなどがこの例です。
○
パンを焼く燃料に乏しい地域では平焼きパンをつくる場合が多いということもあります。
ピタが食べられる中近東などの地域には、ピタを作ったりするためのサージとよばれる中華鍋を裏返したような鉄製の調理器具があります。地面に石を置き空間をつくり、そこに木材などの燃料を入れ、それらの上に凸面が上になるようにサージが置かれます。傘のように覆いかぶさるサージによって熱が外に逃げ難くなっており、しかもサージ全体に熱が均等にまわるようになっています。
サージは移動時に便利でこのサージ一つを背中に担いで移動することができます。 パンを焼くだけでなく凹面を上にして鍋として使うこともでき、まるで優れもののアウトドア用品のようなものです。
○
燃料が少ない地域で平焼きパンを作るのとは反対に、ヨーロッパなどの森林地帯では燃料を手に入れるのは容易なため、薪をふんだんに使って焼くタイプのパンが発達しました。
その地域で穫られる穀物の種類や手に入る燃料の量によってパンを焼く方法や道具に特色が生まれました。
地域によってパンの焼き方や道具が異なったことで、世界の各地で形や厚さの違う多種多様なパンが作られることになったのです。
<参考書籍>
舟田詠子(1998)『パンの文化史』朝日新聞社
鈴木薫(2003)『世界の食文化 (9) トルコ』農山漁村文化協会
大阪あべの辻製パン技術専門カレッジ (2003)『パンの基本大図鑑—パン・マルシェ』講談社
<パン関連>
| ZOJIRUSHI パンくらぶ 自動ホームベーカリー BB-HA10-WZ by G-Tools |
| ユニフレーム パン切りナイフ 661932 by G-Tools |
| amadana TT-111-W オーブントースター ホワイト by G-Tools |
| 固定リンク
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/62471/12035611
この記事へのトラックバック一覧です: ピタはなぜ薄いパンなのか:






