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2006/08/02

沖縄料理の中の琉球史

沖縄には「ヌチグスイ」という言葉があります。
「ヌチグスイ」のもともとの意味は「命の薬」ですが、「食事」を指す言葉として使われます。
昔の沖縄では食事が終わると「ごちそさまでした」と言う代わりに「クスイナイビタン」と言いました。
これは「薬になりました」という意味です。

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病気を治療するのと同じで普段の食事は生命を育み健康を保つ働きがあり、その源は同じであるという中国の「薬食同源」という考え方があります。
「薬食同源」が日本に伝わり、日本では「医食同源」という言い方になったようです。
沖縄の「ヌチグスイ」も「クスイナイビタン」も中国の「薬食同源」の考え方が基になっています。

          ○

15世紀頃の琉球王国は、中国からの国賓を招いて祝宴を催すときのために自国の料理人を中国へ送り中華料理を学ばせました。
そのため中国の料理の手法や食に対する考え方が琉球の宮廷料理の中に取り入れられていきました。
「薬食同源」の思想は中国から取り入れたものですし、沖縄料理で豚や豆腐などの食材が頻繁に使われるようになったのも中華料理の影響を受けてのことです。

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P9710_1_117世紀になると琉球は日本の影響を強く受けるようになります。
1609年に徳川家康は薩摩藩が琉球を統治することを許可し、これにより琉球は中国と日本の両国に属することになりました。
それ以降、琉球宮廷は薩摩武士も接待しなければならなくなり、琉球の料理人は日本料理についても勉強をしてその技法を習得しつつこれを琉球宮廷料理に取り入れていきます。
日本から伝わったもので沖縄料理に大きな影響を与えたものの一つは、沖縄では採れない昆布や昆布出汁を使う料理法でしょう。

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その当時の琉球は東南アジアとの交易を行っていたため、東南アジアからも琉球食文化は影響を受けたと言われます。
炒め物を意味する「チャンプルー」という言葉はインドネシア語に語源があると考えられています。

          ○

沖縄の三大郷土料理のチャンプルー(油炒め)、イリチー(炒めてからの煮物)、シプシー(出汁や調味料での煮しめ)などの料理法や、好んで使われる豚や豆腐、昆布などの食材をみると、琉球が中国や日本、東南アジアの国々と色々な形で関係を持ちつつその文化に影響されたことが垣間見られ、沖縄で独特な食文化がつくられた理由の一端が伺えます。

<参考書籍>

赤嶺政信 (2003)『沖縄の神と食の文化』青春出版社
吉田豊(1995)『食卓の博物誌』丸善
原田信男(2005)『和食と日本文化—日本料理の社会史』小学館

<沖縄関連>

沖縄産 もろみ酢 無糖 900ml
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島唄の風~沖縄ベストコレクション~
オムニバス 夏川りみ THE BOOM
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なんくるなく、ない—沖縄(ちょっとだけ奄美)旅の日記ほか
よしもと ばなな
4101359261

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