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2006/08/22

かつお節の作り方

かつお節はその製造工程の段階によって節に名前がつけられ、それぞれ異なったかつお節として区別されています。
まず「生利節(なまりぶし)」が作られ、その後は手が加えられるごとに「荒節(あらぶし)」、「裸節(はだかぶし)」となり、最終的には「本枯節(ほんがれぶし)」が作られます。

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工程の最初にかつおが捌かれますが、小型のかつおは三枚に下ろされ、大型のものは三枚に下ろされたものが更に背と腹に分けられて四本の節がつくられます。
節が四つに分けられたときは背側の身が雄節(おぶし)、腹側は雌節(めぶし)と呼ばれ、小型のかつおが3枚に下ろされた場合には、その半身は亀節(かめぶし)と呼ばれます。
亀節からは繊細な味の出汁がとれるとして、吸い物用には亀節を使うというこだわりをもつ料理人もいるそうです

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かつおを下ろしたときに出るかつおのハラワタはかつお節には使われないので、土佐では江戸時代の頃からこのワタを塩辛にするようになりました。
この塩辛は「酒盗(しゅとう)」 と名付けられ、酒に合うつまみとして今でも作り続けられています。

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かつおの切り身は大釜で1時間から1時間半程度煮られた後に、身から小骨が取り除かれ乾燥させられます。
ここまでの状態になったものが「生利節(なまりぶし)」とよばれます。
乾燥作業が施されているとはいっても生利節はまだ水分を多く含んでいて柔らかく、魚臭さが残るため出汁を取るためには使えず、和え物や酢の物にして食べられます。
生節を削いだものは、しょうが醤油につけたり大根おろし醤油につけてもおいしく食べられます。

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生利節には、蒸籠に並べて煙と熱をあてて乾燥する「焙乾(ばいかん)」という作業と、常温で一晩冷やす「罨蒸(あんじょう)」という作業が何度か繰り返し施され、「荒節(あらぶし)」とよばれる節に変わります。
罨蒸作業によって節内の水分は均等に行き渡るようになります。
罨蒸中に節の外側にも水分は染み出てきますが、節には布が被せられて水分の蒸発が防がれます。
10〜15回も焙乾と罨蒸が繰り返されると節はカチンコチンに堅くなります。
荒節の段階でもまだ魚臭さは残っていますが、濃厚な出汁を必要とする麺つゆや味噌汁などの出汁をとるのに荒節は向いており、削り節などにも加工されます。

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荒節を削って整形したものが「裸節(はだかぶし)」で、別名「鬼節(おにぶし)」とも呼ばれるものです。

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裸節は1〜2日程度天日で干された後、「カビつけ」のために通気のよくない部屋に置かれます。
カビつけは、裸節にカビを繁殖させて節内の水分をカビに吸収させることで水分を更にとばす作業です。
カビつけにより節内の水分含有量は10数パーセントにまで下がります。

かつお節づくりには麹カビの一種の鰹節菌が利用されますが、もちろんこの菌は人体には無害です。
この鰹節菌がかつお節の水分を取り除くだけでなくカツオの脂を分解する酵素を出す役割を果たしています。
酵素により魚臭さの元になる脂質は分解され、旨味の素になるイノシン酸は増加します。

ヨーロッパのような乾燥している地域では、カマンベールチーズやブルーチーズなどで例外的に使われる以外は、乾燥を嫌うカビを使って保存性を高める方法はあまり使われていません。
日本は雨量も多く湿度も高いため、カビを繁殖させるには適しており、かつお節のカビつけのような製法も生み出されてきたのです。

節の表面がカビで覆われる度にカビは払い落とされ、払い落としては再び鰹節菌の胞子が植え付けられる作業が何回か繰り返されて、カビつけの工程には約100日程が費やされます。

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カビつけ作業が施されると成分が濃縮され香りの良い本枯節(ほんがれぶし)がついにできあがります。
ここまでの工程の中で繰り返される乾燥と熟成によって節内の水分は殆ど無くなるため、上等のかつお節二本を互いに打ちつけると、カキンカキンと金属バットで硬球を弾き返すときのような音が響きます。
味と香りが研ぎすまされた本枯節は幅広い用途に使うことができます。

<参考書籍>

高橋素子(2003)『Q&A 食べる魚の全疑問—魚屋さんもビックリその正体』講談社
柳田友道(1991)『うま味の誕生—発酵食品物語』岩波書店
マルハ広報室(2000)『お魚の常識非常識「なるほどふーん」雑学』講談社
外山健三(1991)『イワシ読本—頭の良くなる魚』成山堂書店
一島英治(2002)『発酵食品への招待—食文明から新展開まで』裳華房
小泉武夫(2005)『小泉武夫 食のワンダーランド』日本経済新聞社
服部 幸応 (2004)『大人の食育』日本放送出版協会

<かつお節関連>

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