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2006/07/24

酢の歴史

バビロニアとは古代の地域名で、メソポタミア(現在のイラク)の南部地方のことです。
紀元前1894年にはこの地方からバビロニア王国が興り繁栄したこともありました。

この古代帝国ができるより以前の紀元前5000年には、バビロニアでナツメヤシや干しぶどう、ワインなどから酢が作られていたことが分かっています。

          ○

酢が登場するヨーロッパの最も古い文献は旧約聖書のルツ記だといわれています。
「ここへきて、パンを食べ、あなたの食べるものを酢に浸しなさい」という記述です。
新約聖書にも酢は登場しています。
キリスト臨終の場面でも、キリストが最期に酸っぱいブドウ酒を口にしています。

          ○

酢は、空気中の酢酸菌がアルコールを分解して酢酸に変えることでつくられます。
酒が酢に変わるということは言葉の由来にもなってきました。

英語の「vinegar」の語源はフランス語の「vin(ワイン)」と「naigre(酸っぱい)」の合成語に由来しています。
つまりビネガーとは酸っぱいワインという意味を持っているのです。
中国でも酢のことを昔は「酸っぱくなってしまった酒」の意味で「苦酒(クオウチュウ」と書きました。
6世紀のころ中国から日本に酢が伝わった当時、日本でも酢は「酸酒(からさけ)」と呼ばれました。

          ○

日本で酢の大量生産が始まったのは江戸時代になってからのことです。

奈良時代の頃に中国から日本に伝えられた酢の作り方は米と麹と水を原料としたものでした。
しかし、江戸時代になって酒粕を使って酢を造る方法が考案されます。
酒粕を2〜3年貯蔵するとアルコール分とうま味成分が増え、これを水に混ぜた後に濾過すると「酢もと」とよばれるものができます。
酢もとを酢酸発酵させると酢ができあがります。
尾張の造り酒屋だった中野又左衛門がこの方法を考案し、1804年に中埜(なかの)酢店を開業しました。
これがあのミツカン酢の株式会社ミツカングループの始まりとなりました。

          ○

戦後の米不足の時代には氷醋酸と水にグルタミン酸ソーダやブドウ糖を混ぜた合成酢が出まわりました。
その後食料事情が改善し合成酢は減り、一般には醸造酢がお店の棚の殆どを占めるようになります。

醸造酢とはいっても現在は二種類が販売されています。
一つは二ヶ月以上の時間を掛けて昔と同じやり方でつくる醸造酢で、もう一つは発酵時間を2〜3日に短縮させてつくられるものです。

また、関東の寿司屋では酒粕から造る粕酢が好まれ使われたりしますが、関西では米酢が主流になっています。

<参考書籍>
小泉武夫 (2000)『漬け物大全—美味・珍味・怪味を食べ歩く』平凡社
石毛直道(2004)『食卓の文化誌』岩波書店
柳田友道(1991)『うま味の誕生—発酵食品物語』岩波書店

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